子どもとブロックで遊んでいると、「正しい遊び方を教えた方がいいのかな?」と迷うことがあります。
見本をまねる力も、見本から外れて試す力も、どちらも大切です。
この記事では、わが家のブロック遊びを通して、模範と独創性を対立させず、行き来できる関わり方を考えます。
ブロック遊びで「同じように作る力」と「違う作り方を試す力」をどう育てるか。
「魚を作って」と言われて作った形が、子どもの中では「ウミガメ」になった話から考えます。
ブロック遊びに「正しい遊び方」はある?
子どもとブロックで遊んでいると、ふと思うことがあります。
ブロックって、どう遊ぶのが正しいんだろう?
大きな接続式ブロックが置いてあると、わが家では、でっぱりと穴を合わせて、塔や塀、お城を作ることがよくあります。
もちろん、それは大事な遊び方です。
はめる、外す、重ねる、つなげる。
どこにどうつながるかを考える。
崩れないように形を作る。
その過程で、子どもは手先を使いながら、形や向き、支え方を何度も試します。
でも一方で、こうも思いました。
ブロックは、必ず「はまる場所」にはめなければいけないのでしょうか。
積み木のように置いてもいい。
でっぱりを引っかけてもいい。
本を土台にしてもいい。
紙や紐を組み合わせてもいい。
そうすれば、見本にはない形が生まれるかもしれません。
子どもに必要なのは、正しい遊び方を覚えることだけではありません。
でも、自由なら何でもいいということでもありません。
大事なのは、同じように作ることも、違う作り方を試すこともできること。
そして、場面に応じてその二つを行き来できることだと思っています。

ブロックの「基本の遊び方」は、共通言語になる
まず、見本通りに作ることや、決まった接続部にはめることは、ブロックの仕組みを知る大切な入口です。
ブロックには、ある程度決まった構造があります。
- ここにはまる
- ここにはまらない
- この向きならつながる
- この形だと崩れやすい
- ここを支えると立つ
こういうことを、子どもは遊びながら体で知っていきます。
これは、ただの作業ではありません。
どうすれば形になるかを試す時間です。
さらに、保育園のような集団では、「みんなが基本の遊び方を知っている」ことが、一緒に遊ぶきっかけにもなります。
同じように積む。
同じようにつなげる。
同じようにお城を作る。
基本の組み方が、子どもたちが一緒に遊ぶための
共通言語
のように働くこともあります。
空間認識
構造理解
まねる力
友だちと遊ぶ力

見本をまねたり、基本の組み方を知ったりすることは、自由な発想と対立するものではありません。
「同じように作れること」は、友だちと遊びを共有する助けにもなります。
見本から外れるには、試せる余白がいる
一方で、見本を見せるだけでは生まれにくいものもあります。
大人がどれほど独創的な作り方を見せても、子どもがそれをそのまま再現すれば、その瞬間は「まねる遊び」です。
もちろん、まねること自体が悪いわけではありません。新しい作り方を知る、大切な入口です。
ただ、そこから子ども自身の試行錯誤へ進むには、完成を急がず、途中の「なんだか変な形」を残しておける余白が必要です。
園でも家庭でも、見本をまねる遊びと、型から外れる遊びの両方ができます。
そのうえで家庭には、時間や材料を比較的自由に使いやすいという利点があります。
わが家でも、少し変な向きに置いたり、別の素材を混ぜたり、ブロックを本来とは違う使い方にしたりすることがあります。

家庭も、子どもにとって
「ちょっと変なことを試してもいい場所」
になれるのだと思います。
わが家では、ブロックに日用品を混ぜることがある
わが家では、ブロックだけで遊ぶこともありますが、日用品を混ぜることもあります。
- 本を土台にする
- 紙を橋や魚にする
- 紐を道や川にする
- 箱を家やトンネルにする

大人から見ると、こうした遊び方はけっこうおもしろいものです。
ブロックだけでは作れないものが作れるからです。
でも、ちーくんはこういうとき、よく言います。
「ちがう!」
ちーくんの中には、
ブロック遊びはブロックでやるもの
という枠があるように見えます。
そこに急に紙や本や紐が入ってくると、大人にとっては創造的でも、ちーくんには
遊びの世界が壊れた
ように感じられるのかもしれません。
「違う!」と言うのは、独創性がないからではない
子どもが「ちがう!」と言うと、大人は少し戸惑います。
せっかく自由な遊び方を見せようとしているのに、拒否されたように感じることもあります。
でも、これは独創性がないということではないと思います。
むしろ、その「ちがう!」には、こんな気持ちや理解が表れているのかもしれません。
「これはブロック遊び」と分かっているからこそ、違う素材が入ると違和感を覚えることがあります。
同じもので作る方が、子どもにとって分かりやすく、安心できる場合があります。
自分なりに決めたルールを大事にしている姿とも考えられます。
予測できる遊びの方が、安心して参加しやすい時期もあります。
大人はつい「こういう使い方もできるよ」「自由に作っていいんだよ」と言いたくなります。
でも、子どもが「ちがう!」と言っているときは、その子なりに守りたい世界があります。
魚を作ったら、ウミガメになった話
ある日、リブロックで塀のようなものを作って遊んでいました。
すると、ちーくんが言いました。
「魚作って!」
大人目線では、正直思いました。
このブロックで魚は難しいな。
紙に魚を描いたり、折り紙で魚を折ったりして、塀の中に入れることもできます。
でもその日は、まずブロックだけで作ってみました。
細長くつないで、少し魚らしい形にしました。
すると、ちーくんはそれを見て、
「ウミガメ!」
と言いました。
魚ではありませんでした。
でも、ちーくんは満足していました。
大人は「魚を作って」と言われたら、魚を作ることがゴールだと思いがちです。
でも子どもの遊びでは、必ずしもそうではないのかもしれません。
正解の魚より、自分で意味をつけること
ブロックだけで作った、よく分からない形。
それを見て、子どもが
「ウミガメ!」
と意味をつける。
この短いやりとりには、いくつもの力が表れています。
見立てる力
名前をつける力
自分で納得する力
大人が魚の正解に近づけるより、今回はこの展開の方が、遊びとしておもしろかったのかもしれません。
正しい形を作ることより、
自分で意味を決めること。
形を受け取り直し、自分で名前をつける。そこに、幼児期らしい創造性が表れているように感じました。
模範と独創性は、対立しなくていい
今回のブロック遊びを通して思ったのは、
模範と独創性は、対立させなくていい
ということです。
見本通りに作ることも大事です。
それは、構造を理解したり、まわりと一緒に遊んだりするための土台になります。
一方で、見本から外れることも大事です。
それは、自分で考えたり、意味をつけたり、誰も作っていないものを試したりする力につながります。
| 模範的な遊び |
はめる、積む、まねする、同じように作る。 仕組みの理解・共有・再現につながる。 |
|---|---|
| 独創的な遊び |
はめずに置く、異素材を混ぜる、別の意味をつける。 発見・見立て・試行錯誤につながる。 |
| 大事なこと |
どちらか一方に固定せず、場面によって行き来できること。 同じも違うも、どちらもできる感覚を育てる。 |
どちらが上という話ではありません。
大事なのは、同じように作れること。違うようにも作れること。必要ならまわりに合わせられること。
園と家庭では、遊びを広げる条件が少し違う
園のような集団では、ほかの子の作り方に出会い、一つの作品や遊びを共有する機会があります。
同じおもちゃを使う。
順番を守る。
友だちの作り方を見る。
一緒に遊ぶ。
これは、家庭の一対一の遊びだけでは得にくい経験です。
一方、家庭では、時間や材料をその場に合わせて変えやすいという利点があります。
途中で別のものを混ぜてもいい。
変な形のまま、しばらく眺めてもいい。
失敗しても、時間を置いてまたやり直せます。
ただし、園では模範、家庭では独創性と分け切れるわけではありません。
園にも自由な試行錯誤があり、家庭でも見本をまねる経験があります。
違うのは、育てる力ではなく、遊びを広げるために使える人・時間・材料の条件なのだと思います。
子どもが変わった組み方をしたときに、
「こう組むんだよ」
だけで終わるのではなく、
「おもしろい組み方だね。今日はお友だちの作り方にも合わせてみようか」
のように関われたら、違いを認めながら、場面に合わせる経験にもつながります。
家庭でできる、ブロック遊びの広げ方
わが家で意識したいのは、大人の考える「自由」をいきなり押しつけないことです。
子どもが「ブロックだけでやりたい」と思っているときは、その気持ちを大事にします。
そのうえで、遊びを少しずつ広げます。

「魚を作って」と言われたら、まずはブロックだけで魚らしい形を作ってみる。
完璧でなくてもいいです。
いつもと違う向きに置く。はめずに積む。横に長く並べる。
素材は同じなので、安心感は残ります。
ブロックだけでは足りないときに、紙や本、紐を足します。
いきなり加えるのではなく、子どもに聞いてみます。
魚のつもりで作ったものがウミガメになっても、それでいい。
子どもが決めた意味を一緒に楽しみます。
- 「同じもできるし、違うのもできるね」
- 「ブロックだけで作る?紙も使ってみる?」
- 「ウミガメに見えたんだね」
- 「今日はこっちの作り方に合わせてみようか」
まとめ|ブロック遊びで育てたいのは、遊び方を選ぶ力
ブロック遊びには、いろいろな学びがあります。
- はめる
- 積む
- つなげる
- まねする
- 考える
- 見立てる
- 意味をつける
見本通りに作ることも大事です。
でも、見本から少し外れて、自分なりに作ることも大事です。
そして、その両方を行き来できることが大事なのだと思います。
大事にしたいのは、遊び方を選べることです。
みんなと同じように作ることもできる。
誰も作っていないものを作ることもできる。
必要なら、友だちに合わせることもできる。
魚を作ったつもりの形が、ウミガメになる。
そのくらいの余白を、これからも大事にしていきたいです。



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