0〜3歳の運動・身体機能はどう育つ?「速い・上手い」より先に大切にしたい5つの土台

速い!上手じゃなくていい。体を使って世界を広げる力を育てる伸ばしたい子どもの力
寝そべるのも、ジャンプも、手作業も全部役立つ

0〜3歳の運動・身体機能はどう育つ?「速い・上手い」より先に大切にしたい5つの土台

「運動能力」って聞くと、少し身構えてしまいませんか。

0〜3歳の子どもに対して考えると、

  • 運動神経のよさを見ること?
  • 早く歩けるか、早く走れるかが大事?
  • もうバランス感覚や俊敏性を気にしたほうがいいの?

そんなふうに迷う方も多いと思います。

でも、この時期に大切なのは、まだ「速く走る」「うまく跳ぶ」を評価することではありません。

まずは、

  • 体を支えられること
  • 自分で近づけること
  • 手を使って確かめられること
  • 力加減やバランスを少しずつ調整できること
  • 暮らしの中で体を使うこと

そんな土台が育っていくことのほうが、ずっと大きいと思います。

この記事で伝えたいこと

  • 0〜3歳で大切なのは、「運動神経のよさ」よりも、体を使って世界を広げることです
  • 見るときの軸は、姿勢・移動・手を使う・調整・生活動作の5つです
  • 特別なトレーニングより、床遊び、歩く、運ぶ、着るなど日常の中の経験が土台になります

ここでいう「運動能力」は、スポーツの上手さのことではありません
0〜3歳では、動けることで見えるものが増え、触れるものが増え、やりたいことが増える。その流れのほうがずっと大事だと思っています。

WHOは、乳児には覚醒中の床遊びやうつぶせ遊びを、1〜2歳には1日180分以上の身体活動を、3〜4歳には1日180分以上の身体活動とそのうち60分以上の活発な活動を勧めています。[1]

またCDCの発達マイルストーンでも、6か月のうつぶせ支持、1歳のつかまり立ち、18か月の自立歩行、2歳の走る・蹴る、30か月の両足ジャンプや服を脱ぐ、3歳のひも通し・着衣・フォーク使用など、動きと生活動作が並んで示されています。[2][3][4]

この記事では、0〜3歳の運動・身体機能を、次の5つの土台に分けて見ていきます。

  • 姿勢を支える力
  • 移動して近づく力
  • 手を使って確かめる力
  • バランス・力加減を調整する力
  • 生活の中で体を使う力
ここは読み飛ばしてOK|少しだけ理論の話

0〜3歳の運動は、ただ「筋力がつく話」ではありません。

座れるようになると、両手が使いやすくなります。
はいはいできると、自分で気になるもののところまで行けます。
歩けるようになると、遠くのものを持ってきたり、見せたりできます。

つまり新しい動きは、その場かぎりではなく、見る・触る・比べる・伝えるにつながっていくんですよね。

AAPは、遊びが粗大運動・微細運動の習得と、その後もっと体を動かしたくなる自信の土台になると説明しています。[5]

またHarvard Center on the Developing Childは、子どもの動きや視線や声かけに大人が返していく “serve and return” のやりとりが、脳の土台や、ことば・社会性の回路を支えると説明しています。[6]


土台① 姿勢を支える力

いちばん最初に見たいのは、「もう歩けるか」より、床で体を支えながら過ごせるかです。

0歳のころは特に、寝返り、うつぶせで顔を上げる、手で支える、座ってバランスを取る。そういうことが全部、次の動きにつながっていきます。[2]

家で見えやすい姿

  • うつぶせで顔を上げようとする
  • 少し離れたおもちゃに手を伸ばす
  • 座りながら手をついてバランスを取る
  • テーブルやソファに手をかけて立とうとする
  • 取ったものをじっと見たり、口に入れたりして確かめる

姿勢が安定すると、目線が安定して、手も使いやすくなります。

だからこの時期は、「きれいに座れるか」より、体を支えながら見て、触って、試せることを大事にしたいです。

関わり方のコツ

  • 毎日少しずつ床で遊ぶ時間をつくる
  • おもちゃは、少しだけ手を伸ばしたくなる位置に置く
  • すぐ起こしたり座らせたりしすぎず、少し待つ
  • 「届きそうだね」「取れたね」と動きを短く言葉にする

たとえば、こんな声かけ
「もうちょっとで届きそうだね」
「手を伸ばしたんだね」
「見つけたんだね」


土台② 移動して近づく力

はいはい、伝い歩き、ひとり歩き。

この変化は、家の中の景色を大きく変えます。

CDCでは、1歳ごろに、つかまり立ちや家具につかまって歩くこと、18か月ごろに、支えなしで歩くことやソファ・椅子の上り下りが挙げられています。[2][3]

家で見えやすい姿

  • 廊下を何往復もしたがる
  • 気になるものを自分で取りに行く
  • 持てるものを運んで見せにくる
  • ソファや段差にのぼって満足そうにする
  • 段差の前で一度止まって、どうするか考えている

歩くことの価値は、「移動できる」だけではありません。

近づける。
持てる。
見せられる。
一緒に見られる。

この流れが、遊びもやりとりも増やしていきます。

関わり方のコツ

  • 安全を確保したうえで、少し広く動ける空間をつくる
  • 取りたいものを全部近くに置きすぎない
  • タオルや小さな袋など、運びたくなるものを渡す
  • 持ってきたら「見せてくれたね」と返す

ここが大事
たくさん動くこと自体が目的というより、「自分で行けた」「自分で持てた」という体験が大事なんだと思います。


土台③ 手を使って確かめる力

運動というと脚ばかり見がちですが、0〜3歳では手の発達もかなり大きいです。

CDCでは、1歳ごろのつまむ動き、2歳ごろの容器を持ちながらふたを外す・スイッチやノブを試す・スプーンで食べる、30か月ごろのひねる動き、3歳ごろの大きいビーズ通しやフォークの使用などが挙げられています。[2][3][4]

家で見えやすい姿

  • ものをつまんで口に運ぶ
  • 入れる・出すを何度もくり返す
  • ふたを回したがる
  • ページを1枚ずつめくりたがる
  • スプーンやフォークを自分で使いたがる
  • シール貼りやビーズ通しのような細かい作業にハマる

手を使うと、子どもは「入る・入らない」「開く・開かない」「落ちる・残る」を知っていきます。

つまり、手の遊びは、ただ器用になるためだけではなく、ものの性質を知る時間でもあります。

関わり方のコツ

  • 入れ物、ふたつき容器、積み木など「試したくなるもの」を置く
  • 食事では最初の数口だけでも自分で持たせる
  • 危なくない範囲で、回す・押す・引くをやらせてみる
  • 「開いたね」「入ったね」と結果を短く言葉にする

高価なおもちゃでなくて大丈夫です
タッパー、紙コップ、洗濯ばさみ、積み木、スプーン。
触って試したくなるものがあれば十分です。


土台④ バランス・力加減を調整する力

2〜3歳になると、できることが増えるだけでなく、動きを調整する力も少しずつ見えてきます。

CDCでは、2歳ごろにボールを蹴る・走る・階段を上がる、30か月ごろに両足で地面を離れて跳ぶことが示されています。[3][4]

家で見えやすい姿

  • 走り出したあと、止まれずによろけることがある
  • ボールを蹴って、追いかけて、向きを変える
  • コップを運ぶときだけ急に慎重になる
  • 段差をまたぐ前に一瞬止まる
  • 跳んだあとに着地が少しずつ安定してくる

この時期は、「速いかどうか」より、止まれるか、向きを変えられるか、力を弱められるかを見るほうが、日常には合っています。

関わり方のコツ

  • 追いかけっこに「止まる」を入れる
  • ボールは、まず投げるより転がす・蹴るから始める
  • 家の中のお手伝いで、こぼさないように運ぶ経験を入れる
  • 階段や段差は急がせすぎず、一緒にゆっくり使う

「危ないから全部止める」より、やさしく支える
もちろん安全第一ですが、少し調整してやってみる時間も、子どもにとっては大きな練習になります。


土台⑤ 生活の中で体を使う力

0〜3歳の運動発達は、生活の中でいちばん見えやすいです。

CDCでは、18か月ごろのコップ飲み・スプーンを使おうとすること、ソファの上り下り、30か月ごろの服を少し脱ぐこと、3歳ごろのゆるいズボンや上着を着ること、フォーク使用などが示されています。[3][4]

家で見えやすい姿

  • おむつや靴下を持ってきたがる
  • 袖に腕を通そうとする
  • ズボンを自分で脱ごうとする
  • 小さなお皿やコップを運びたがる
  • 「自分で!」と言って食べたがる

生活動作は、ただ身の回りのことを覚える時間ではありません。

体の向き、手の位置、順番、力加減、待つこと。
いろいろな力が一度に動く、かなりいい練習時間です。

関わり方のコツ

  • ものの置き場所をなるべく固定する
  • 全部やらせるのではなく、最初の一歩だけ任せる
  • 脱ぎやすい服、持ちやすいコップなど道具をやさしくする
  • 急ぐ日は親がやる、急がない日は子どもに任せる、と分けて考える

全部できなくてOKです
0〜3歳は「ひとりで完璧にやる」時期ではありません。
少し持つ、少し運ぶ、少し自分でやる。その積み重ねで十分です。


0〜3歳で伸ばしやすいのは、「鍛えること」より「動きたくなる環境」

AAPは、毎日の active play と、動きを制限する器具に長時間入りっぱなしにしないことを勧めています。[5]

この時期は、説明で理解させるより、環境のほうが強いことが多いです。

  • 床の時間を減らしすぎない
    ベビーカーやハイチェアが悪いのではなく、入りっぱなしにしないことが大切です。
  • 少しだけ難しい配置をつくる
    届きそうで届かない、運べそうで少しだけ重い、がちょうどよい練習になります。
  • すぐ助けすぎない
    危なくないなら、数秒待つだけでもかなり試します。
  • 動きを言葉にする
    「のぼれたね」「ゆっくり運んでるね」「開いたね」で十分です。
  • 生活動作を奪いすぎない
    食べる、脱ぐ、持つ、運ぶは、0〜3歳ではとても大きな経験です。

子どもが動いたときに、大人が目を向けて返してくれることも大切です。Harvard Center on the Developing Child は、こうした responsive な back-and-forth のやりとりが、脳の土台や、後のことば・社会性につながると説明しています。[6]


できる・できないで見すぎなくて大丈夫

ここまで読むと、

  • うちの子、まだ全然そこまでじゃないかも
  • 走るのが遅い気がする
  • 手先は器用だけど、体を動かすのは苦手そう

と気になる方もいるかもしれません。

でも、0〜3歳は本当に個人差が大きい時期です。

しかも、

  • 歩くのは好きだけど、手先はゆっくりな子
  • 体を動かすのは慎重だけど、手を使うのが得意な子
  • ジャンプはまだでも、生活動作への意欲が強い子

ということは、普通によくあります。

大事なのは、「どれだけ上手か」だけではなく、
前より動きが増えているか、自分でやろうとしているかを見ること
だと思います。

なお、CDCも、マイルストーンはチェックの目安であって、標準化された発達スクリーニングの代わりではないとしています。もし節目の動きがなかなか見られない、一度できていたことが消えた、親として強く気になる、というときは、早めに小児科や健診で相談して大丈夫です。[7]


まとめ|0〜3歳の運動は、「体づくり」以上のものを育てている

0〜3歳の運動発達は、スポーツの準備というより、学びの準備だと思います。

  • 姿勢を支える
  • 移動して近づく
  • 手を使って確かめる
  • バランスや力加減を調整する
  • 生活の中で体を使う

こうした土台が育つことで、子どもは見えるものが増え、触れるものが増え、伝えられることが増えていきます。

だから0〜3歳では、
「速いか」「上手いか」より、
「自分でやろうとしているか」
「何度も試したくなっているか」
を見てあげるほうが、ずっと自然です。

家の中でごろごろすることも、歩いて運ぶことも、服に腕を通そうとすることも、全部が練習です。

そう思って日常を見ると、子どもの動きが、ただの「できた・できない」ではなく、学びそのものに見えてくると思います。

あとがき

運動能力という言葉を見ると、つい「運動神経のよさ」や「スポーツの向き・不向き」を思い浮かべてしまいます。

でも、小さい子にとっての運動って、もっと生活に近いものなんですよね。

ごろんと寝返りする。
はいはいで近づく。
見つけたものを持ってくる。
服に腕を通そうとする。

そんな毎日の小さな動きの中に、もう十分、体の育ちが詰まっているのだと思います。

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  1. WHOは、乳児には覚醒中の床遊び・うつぶせ遊びを、1〜2歳には1日180分以上の身体活動を、3〜4歳には1日180分以上の身体活動とそのうち60分以上の活発な活動を勧めています。[1]
  2. CDCの発達マイルストーンでは、6か月ごろに寝返り・うつぶせで腕を伸ばす・座位で手をついて支えること、1歳ごろに、つかまり立ち・家具につかまって歩く・コップ飲み・つまむ動きが示されています。[2]
  3. 18か月ごろには、自立歩行、なぐり描き、コップ飲み、指で食べる、スプーンを使おうとする、ソファや椅子の上り下りなどが見られます。2歳ごろには、蹴る・走る・階段を上がる・スプーンで食べることが挙げられています。[3]
  4. 30か月ごろには、ひねる動き、服を少し脱ぐ、両足ジャンプ、本のページを1枚ずつめくること、3歳ごろには、大きいビーズ通し、服を着る、フォーク使用などが示されています。[4]
  5. AAPは、毎日の active play と、動きを制限する器具に長く入りっぱなしにしないことを勧めています。また、遊びは粗大運動・微細運動と、その後もっと体を動かしたくなる自信の土台になると説明しています。[5]
  6. Harvard Center on the Developing Childは、子どもの動き・視線・声に大人が返していく serve and return のやりとりが、脳の土台や、後のことば・社会性の基盤になると説明しています。[6]
  7. CDCは、マイルストーン資料は標準化された発達スクリーニングの代わりではないとしており、節目の動きが見られない、できていたことが消えた、強い心配がある場合は早めの相談を勧めています。[7]

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