虫取りと聞いて、まず思い浮かべるのは夏ではないでしょうか。カブトムシ、クワガタ、チョウ、トンボ、セミ。秋になるとカマキリやバッタはまだ見られるものの、夏より虫が減ったように感じます。
でも、3歳児と公園を歩いていると、秋は「虫がいない季節」ではありませんでした。草むらだけでなく、落ち葉、木の幹、枝や柵、前に見つけた場所まで見ると、幼虫、蛹、巣、死骸など、夏とは違う発見が増えてきます。
10月、3歳1か月のちーくんと公園を歩いた日は、ショウリョウバッタ、ハラビロカマキリ、コガネムシ類の幼虫、ミミズ、ナメクジ、見慣れないサシガメ類らしい虫、泥で作られたハチの巣らしいもの、そして前から観察していたクロアゲハの蛹まで見つかりました。
秋は、虫の数だけでなく「どこを見るか」「前と何が変わったか」を楽しむ季節。この記事では、実際の親子の虫探しをもとに、秋の公園で見ている場所と、発見から観察を広げる声かけをまとめます。
虫取りの基本的な探し方や捕まえ方は、『子どもと虫取り、どうやる?幼児でも捕まえられるコツと場所』にもまとめています。
先に結論|秋の虫探しで見る5つの場所
- 草むら:バッタやカマキリを探し、「どんな草の近くにいた?」まで見る。
- 地面・落ち葉のまわり:幼虫、ミミズ、ナメクジなど、小さな生き物を探す。
- 木の幹・樹皮の割れ目:虫の隠れ場所を想像する。ただし、樹皮をはがして住処を壊さない。
- 枝・葉・柵:蛹や巣など、動かない「虫の痕跡」も探す。
- 前に見つけた場所:数日後・1週間後にもう一度見て、変化を比べる。
安全面では、ハチやサシガメ類など、刺したり口吻で傷つけたりする可能性のある虫には触れず、少し離れて観察します。種類が分からない虫も、まず写真に残してあとで調べるくらいで十分です。
多くの子どもが遊具へ。3歳児は「虫さん探したい!」
その日は、たくさんの親子でにぎわう公園でした。子どもたちの多くが滑り台やブランコへ向かう中、ちーくんが最初に言ったのは、「虫さんいるかなー? 虫探ししたい!」
最近は自分で「虫博士になる」と言っているだけあって、まず草むらへ。でも10月は、夏のように次々と大きな虫が飛び出してくるわけではありません。ようやく見つけたのはショウリョウバッタ。それでも、そこから観察は十分に広がりました。
「バッタがいた」で終わらない。いる場所・いない場所を比べる
わが家では、虫の名前を当てて終わるより、その先を少しだけ一緒に考えるようにしています。
「どうして、こっちの草むらにはバッタがいるのに、こっちにはいないんだろうね」
「どんな葉っぱだったらショウリョウバッタは食べるんだろう?」
そして、「バッタがいるんだから、カマキリもいるかな?」と話すと、ちーくんも、「いるよ! カマキリはバッタ食べるからね!」と得意げです。
正しい答えをすぐ教えることより、「どこにいた?」「何を食べる?」「それを食べる虫は?」と関係をつなげる。一匹のバッタから、生息場所や食べ物、食う・食われる関係まで話が広がります。
秋は「虫そのもの」だけでなく、虫がいそうな場所を見る
秋に公園で虫を探すときは、草むらだけを見ているわけではありません。地面、落ち葉、木の幹や割れ目、枝、柵、花壇のまわり。虫がいそうな場所を少しずつ変えて見ます。
草むらではバッタやカマキリ。落ち葉や地面では幼虫、ミミズ、ナメクジ。木の幹や樹皮の隙間では、小さな虫の隠れ場所。枝や柵では、蛹や巣のような動かないものが見つかることもあります。
「虫を一匹捕まえる」から、「虫が暮らしていそうな場所を読む」へ。秋になると、自然と観察の仕方が変わってきました。
木の皮をめくれば見つかる。でも、めくらない
木を見ていると、樹皮が少し浮いている場所がありました。「こういうところに、小さい虫がお休みしていることがあるんだよ。寒くなると、隠れて冬を越す虫もいるんだよ」。そう話すと、当然、ちーくんは中を見たくなって樹皮をめくろうとします。
そこで、「でも、めくったら虫さんのお家がなくなるから、そっとしておこうね」と伝えました。
虫好きになると、「見たい」「捕まえたい」という気持ちは強くなります。でも、だからこそ、見つけるために住処を壊さないというルールも一緒に覚えてほしいと思っています。
泥のかたまりに穴。「蜂の巣?」——分からないものは写真に残す

イチョウの木の下では、ちーくんがまず「くさい! 銀杏のにおいする!」。匂いも立派な秋の観察です。
その木を見上げると、枝に泥で作ったようなかたまりがあり、いくつか穴が開いていました。
「ちーくん、見て。これ何だろう? 何かの巣かな?」
「蜂の巣?」
「そうだね。蜂の巣っぽいね。泥でできてるし、穴もあるね。パパも分からないから、写真を撮ってあとで調べてみようか」
親が自然に詳しくなくても、自然観察はできます。むしろ、「分からない」→よく見る→写真を撮る→帰って調べるという流れそのものが、子どもに見せたい学び方だと思っています。
別の場所では、ブーンと飛んで止まった虫を見て、ちーくんが「あれ何? ハチ?」。遠くてはっきり見えなかったので、「ここからじゃ分からないね」と、近づきすぎずに観察しました。

見たことのない、黒っぽい体に赤い部分のあるサシガメ類らしい虫にも出会いました。名前をその場で言えなくても構いません。「知っている虫に似ているけれど、何か違う」と気づけば、そこから観察が始まります。
死骸も、幼虫も、ミミズも。「持ち帰る?」を一緒に判断する
次に見つけたのは、緑色のコガネムシ類らしい死骸でした。ちーくんはすぐに、「持って帰ろう! 標本にしよう!」
パパは少し迷って、「うーん。でも、もうだいぶ時間が経ってそうだからなあ」。すると、「でも、きれいにしたらできるよ。絶対!」
結局、そっと持って見ているうちに崩れてしまいました。「ああ、崩れちゃった。かなり傷んでいたみたいだから、これは諦めようか」。標本にできる状態かどうかも、実物を扱って初めて分かることがあります。

そのあと、落ち葉の近くで白いC字型の幼虫も発見しました。「何の幼虫だと思う?」と聞くと、「クワガタ!」。確かによく似ています。
「似てるね。でもこれはコガネムシの仲間かな」と、口元や脚、お尻の毛まで一緒に観察しました。写真だけで種まで決めるのは難しいので、ここでは「コガネムシ類」としておきます。飼育する予定はなかったので、元の場所の土に戻しました。
ミミズも見つけました。以前ほど怖がることはなく、手で触って動きを見ます。ナメクジを自分で見つけたときは、「パパ、きて! なんかいた!」と呼ばれました。
「何がいたと思う?」「なんだろう?」「ナメクジ! こっち!」。ところが戻ってみると、もういません。「ここにいたのに。パパ探してよー」。見つからないことも、虫探しでは普通です。少し困りながらも、また地面を探していました。
捕まえたあとをどうするかについては、『捕まえた虫はどうする?逃がす・飼う・観察する方法と注意点』にもまとめています。
ハラビロカマキリは「見る」から「持つ」へ

さらに進むと、柵の上にハラビロカマキリを見つけました。パパが手に乗せて、ちーくんの手へ。カマキリは腕から体へサササッと歩いていきます。ちーくんは「きゃー!」と走りながらも、嫌がって逃げるのではなく、ずっと楽しそうです。
「どうしてこんな格好してるの?」と鎌を上げた前脚を見たり、「こっちに乗らないかな?」と枝を差し出したり。触るときは体をつぶさないよう、そっと扱うことも一緒に練習しました。
近くにいた女の子が「見たい!」と寄ってきました。ちーくんが渡そうとすると、「持てないから見るだけ」。別の男の子には、パパがそばで見ながら持たせてあげました。虫を怖がるかどうかは子どもによって違います。見るだけでも、近くで形を確かめるだけでも十分です。
虫をきっかけに周囲の子どもとのやり取りが広がった別の日の様子は、『虫取り博士になる!|一匹の虫から友達が集まる、幼児の自然遊び』にも記録しています。
1週間後、「クロアゲハの蛹どうなったかな?」

この秋の観察で、いちばん印象に残っているのはクロアゲハの蛹です。公園の柵に緑色の蛹を見つけました。触ってみたがるちーくんには、「これは中でチョウになる準備をしているから、触らずに見よう」と伝えます。
「羽化するかな?」。翌日も見に行って、「まだだね」。時期によっては蛹のまま冬を越すこともあるので、「冬を越すかもしれないね」と話しました。
そして約1週間後。3歳のちーくん自身も覚えていました。「蛹どうなったかな?」
柵の正確な位置までは曖昧。それでも「こっち!」と走り、以前見つけた方向へ探しに行きました。
この瞬間、虫探しが「今日、何匹見つけたか」だけではなくなった気がしました。同じ個体を、同じ場所で、時間をあけて見る。先週と色は違う? まだ蛹のまま? 次はどうなる? 一匹の蛹があるだけで、観察に「時間」という軸が加わります。
『自然は毎週変わる。親子でフィールドワークすると季節が見えてくる』でも書きましたが、同じ場所を繰り返し歩くと、一度きりのお出かけでは見えない変化が出てきます。
虫を探していると、虫以外の秋も見えてくる
面白いのは、虫を探して地面や木をよく見るようになると、虫以外のものも目に入ってくることです。地面に広がるロゼット状の葉。まだ咲いているタンポポやカタバミ。イチョウの下の銀杏の匂い。色も大きさも帽子の形も違うどんぐり。
タンポポらしい葉を見て「どうしてタンポポだと思ったの?」と聞くと、「ここがギザギザしてるから」。似たロゼットの別の葉は「こっちは丸まるしてるから違う」と言い、触って「カサカサしてる。触り心地も違うね」と比べていました。
形の違うどんぐりも3種類ほどあり、5mmくらいの小さなものを二人で「ちびどん」と呼んで拾いました。虫を探すために目線が低くなると、そのまま植物や木の実の観察にもつながっていきます。
秋の虫探しを続けやすくする3つのコツ
- 名前が分からなくても止まらない:特徴を見て写真に残し、帰ってから調べる。
- 捕まえることを目的にしすぎない:巣、蛹、食べ跡、死骸も観察対象にする。
- 同じ場所へもう一度行く:前回との違いを比べると、季節や成長の変化が見える。
東京の公園で春から夏にどんな虫が見つかったかは、『東京の公園で子どもと虫取り|2歳児の3月〜7月観察記録と見つけ方』にも記録しています。秋は、その続きとして「探す対象が変わる季節」と考えると、虫探しがまだまだ続きます。
まとめ|秋は「捕まえる」から「虫の暮らしを読む」へ
夏の虫取りには、大きな成虫を見つけ、網で追い、捕まえる分かりやすい楽しさがあります。秋になると、同じやり方では「虫がいない」と感じる日が増えてきます。
でも、落ち葉の下の幼虫、木についた泥の巣、崩れかけた成虫の死骸、柵に残る蛹、虫が隠れそうな樹皮の割れ目まで見ていくと、今度は「どこで暮らすのか」「次の季節をどう過ごすのか」という問いが増えていきます。
秋は虫がいなくなる季節ではなく、虫の見方が変わる季節。
大きな虫を捕まえられなくても大丈夫です。幼児と一緒にしゃがんで、地面や木を少し丁寧に見てみる。それだけで、いつもの公園にもまだたくさんの発見が残っています。


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