2歳までに育てたい「統率力・協同力」の土台|自分で選ぶ・人と関わる・ルールを知る
この記事では、対人・社会性の力の中でも、将来のリーダーシップや協同につながる統率力・協同力の4項目について、2歳までの日常で見えてきやすい姿と家庭での関わり方をまとめます。
ここでいう「リーダーシップ」は、大人のように人をまとめる力ではありません。0〜2歳では、自分で選ぶ、やってみる、人と関わる、簡単なルールを知るといった、小さな土台として見ていきます。
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伸ばしたい子どもの力では、知的学習、社会性、自己成長、運動、音楽も含めて、子どもに伸ばしたい力を整理しています。
この記事は、その中の「統率力・協同力」を、2歳までの家庭で見える姿に落とし込んだものです。
この記事の見方|比べるためではなく、関わり方のヒントとして
この記事で紹介する姿は、子どもを評価したり、早い・遅いを比べたりするためのものではありません。
同じ2歳前後でも、よく話す子、じっくり観察する子、慎重な子、すぐに動き出す子など、育ち方にはそれぞれのペースがあります。
そのため、ここでは「できた・できない」ではなく、「こんな小さな姿が見えてきたら、その力が育ち始めている」という見方で整理しています。
統率力・協同力で見たい4つのテーマ
1. リーダーシップの土台
自分で選ぶ、決める、やってみる力。0〜2歳では「人を引っぱる」よりも、選択と行動として見ます。
2. 主体性
自分の興味から遊び始める力。親が全部決めるのではなく、子どもの「やりたい」が動き出す場面を大切にします。
3. 協同力
人と同じ場で過ごす、人のまねをする、簡単なお手伝いをする力。協力遊びの完成形は、まだ先で大丈夫です。
4. 規範意識・マナー
あいさつ、ありがとう、ごめんね、順番、安全のルールを少しずつ知っていく力です。
1. リーダーシップの土台|まずは「自分で選ぶ」から
リーダーシップというと、周りをまとめる力、決断力、責任感、問題解決能力などを思い浮かべます。もちろん大人になれば、どれも大切な力です。
ただ、0〜2歳の子どもにとってのリーダーシップは、もっと手前にあります。まず見たいのは、自分で選ぶ、選んだものに向かう、人のしていることを見て「自分もやりたい」と思うという姿です。
0〜2歳で見えるリーダーシップの芽
- 2つの中から、好きなものを選ぼうとする
- 読みたい絵本、着たい服、使いたいおもちゃを示す
- 大人やきょうだいの行動を見て、自分もやりたがる
- できないときに、もう一度やろうとする
家庭で見えてくる小さなサイン
| 育ちの姿 | 家庭での具体例 |
|---|---|
| 2つの中から、1つを選ぼうとする | 「こっちの絵本? それともこっち?」と聞くと、手を伸ばす・指さす・声を出す。 |
| 選んだものに向かって行動する | 選んだ絵本を持ってくる、選んだ服を着ようとする、選んだおもちゃで遊び始める。 |
伸ばし方:選択肢は「2つ」から始める
小さい子にとって、たくさんの選択肢から選ぶのは難しいことがあります。最初は、親が安全で困らない範囲を決めたうえで、2つから選ばせるのがおすすめです。
声かけ例
- 「今日は赤い服にする? 青い服にする?」
- 「この絵本とこの絵本、どっちを読む?」
- 「お茶を先に飲む? ごはんを先に食べる?」
ポイントは、選んだ後にすぐ否定しないことです。子どもが選んだあとに「やっぱりこっちにしよう」と大人が変えてしまうと、子どもにとっては「自分で選んでも意味がない」経験になりやすいです。
もちろん、安全・時間・体調に関わることは親が決めて大丈夫です。その場合は、「今日は寒いから長袖にしようね。その中で、こっちとこっち、どっちがいい?」のように、親が枠を決めて、その中で子どもが選ぶ形にすると続けやすいです。
選びやすい環境づくり
絵本は表紙が見えるように並べると、子どもが選びやすくなります。わが家では、リビングに絵本・洋服・おもちゃを子どもの手の届く場所に置き、「自分で取る」「自分で選ぶ」経験を増やすようにしています。
絵本は定期的に入れ替えると、同じ棚でも新鮮さが出ます。図書館で借りた絵本を並べる場所を決めておくのも使いやすいです。
2. 主体性|「やってみたい」を止めすぎない
主体性は、0〜2歳の子どもにもすでにあります。好きなものに手を伸ばす、気になる場所へ行く、同じことを何度もやりたがる。これらは全部、子どもが自分から世界に関わろうとしている姿です。
親にできる一番大切なことは、主体性を無理に作ることではなく、子どもの主体性を必要以上に止めないことだと思います。
家庭で見えてくる小さなサイン
| 育ちの姿 | 家庭での具体例 |
|---|---|
| 自分の好きな遊びを選んで始める | ブロック、絵本、ままごと、車、お絵描きなど、自分で遊びに向かう。 |
| 自分で決めたことを、短い行動につなげる | 食事で自分で食べ物を選ぶ、着たい服を持ってくる、手伝いたいことを示す。 |
伸ばし方:止める前に「本当に止める必要があるか」を考える
子どもが何かをしようとした瞬間、大人はつい言ってしまいます。
「ダメ!」
「触ったら危ないよ!」
「こぼれるよ!」
「濡れちゃうよ!」
「壊れちゃうよ!」
もちろん、本当に危ないことは止める必要があります。ただ、あとから振り返ると「止めなくてもよかったかも」と思うこともあります。
一度立ち止まって考えたいこと
- 少し濡れるだけなら、経験として見守れないか
- 少し散らかるだけなら、あとで一緒に片づけられないか
- 壊れて困るものなら、代わりに壊れてもよいものを渡せないか
- 危ないことなら、短く理由を伝えて別の行動に移せないか
たとえば、絵本を破りそうなときは「絵本は大事だから破らないよ」と伝えたうえで、「代わりに、この紙をビリビリしよう」と置き換えることができます。熱い飲み物を持ちたがるときは、「これは熱いから持てないよ」と短く伝えて、子ども用の安全なコップを渡す方が安心です。
大切なのは、ダメで終わらせず、できる形に変えてあげることです。
親が正直に伝えることも、主体性の土台になる
1歳を過ぎると、お菓子や大人の食べ物をほしがる場面も増えます。そのときに「これは食べられないよ」とごまかすより、できるだけ正直に伝える方が、子どもとのやりとりは積み重なりやすいと感じています。
声かけ例
「これはママの分だから、今はあげられないよ」
「〇〇は自分のお菓子を食べたね。次のおやつでまた食べようね」
「ほしいよね。でも、これは大人の食べ物だから、こっちにしよう」
子どもがすぐに納得するとは限りません。それでも、毎回同じように理由を伝えることで、「大人の都合でごまかされる」のではなく、「理由があって今はできない」という経験になっていきます。
3. 協同力|2歳までは「一緒に遊ぶ」の手前で十分
協同力は、人と協力する力です。ただし、2歳までの子どもに、大人がイメージするような「みんなで相談して遊ぶ」「役割分担して協力する」を求めすぎる必要はありません。
この時期は、ひとり遊びをしながら、近くの子を見たり、まねしたり、同じ空間で過ごしたりすることが多いです。これは未熟なのではなく、協同力の前段階としてとても大事な経験です。
2歳までの協同力は、まずここを見る
- 他の子がいる場所でも遊べる
- 近くの子を見て、まねしようとする
- 大人と一緒に簡単なお手伝いをする
- 「どうぞ」「ちょうだい」「順番」を少しずつ経験する
家庭や公園で見えてくる小さなサイン
| 育ちの姿 | 家庭や公園での具体例 |
|---|---|
| 他の子どもと同じ空間で過ごせる | 公園、支援センター、遊び場で、近くに子どもがいても自分の遊びを続ける。 |
| 簡単なやりとりや順番を経験する | おもちゃを渡す、受け取る、短い時間だけ待つ、まねして同じ遊びをする。 |
伸ばし方:家庭を小さな社会として見せる
家庭は、子どもにとって一番身近な社会です。パパ・ママ・きょうだいが手分けしている姿、お願いをして受け取る姿、ありがとうを言う姿は、そのまま協同のモデルになります。
家庭でできる小さなお手伝い
- スプーンや箸を運ぶ
- 洗濯物をかごに入れる
- おもちゃを箱に戻す
- 食器をテーブルまで運ぶ
- 「これをパパに渡して」とお願いする
わが家でも、1歳代から「ご飯を持っていって」「スプーンを運んでね」といった簡単なお手伝いをお願いしていました。最初は遊びのようでも、だんだん「自分も家族の一員として参加している」という経験になっていきます。
外での関わりは、親が橋渡ししてあげる
公園や遊び場では、それぞれの家族で別々に遊んでいることも多いです。そんなとき、親が無理のない範囲で橋渡しをすると、子どもは人との関わり方を見て学べます。
声かけ例
「こんにちは。一緒にここで遊んでもいいですか?」
「今、使っているから、終わったら借りようね」
「貸してくれてありがとう、って言おうね」
「まだ小さいから、ゆっくり近づこうね」
相手の子が近寄ってきてくれることもあれば、嫌がることもあります。どちらも経験です。大切なのは、親が焦って「仲良くしなさい」と押しつけることではなく、人との距離の取り方を一緒に経験することだと思います。
4. 規範意識・マナー|ルールは「怖いもの」ではなく「安心して過ごすためのもの」
規範意識やマナーという言葉は、0〜2歳には少しかたいかもしれません。子どもにとっては、まず「していいこと」「今はしないこと」「人と一緒に過ごすための約束」を少しずつ知っていく段階です。
この時期に大切にしたいのは、厳しく叱って従わせることより、毎日の中で同じルールを短く伝えることです。
家庭で見えてくる小さなサイン
| 育ちの姿 | 家庭での具体例 |
|---|---|
| あいさつや感謝の言葉をまねしようとする | 「こんにちは」「ありがとう」「どうぞ」などを、言葉・動作・表情でまねする。 |
| 人の物や順番を少しずつ意識する | 「貸して」「どうぞ」「あとでね」を、大人と一緒に練習する。 |
家庭で決めたい基本ルール
家庭の中で大切にしたいルールは、たくさん作りすぎなくてよいと思います。2歳までなら、まずは生活の中でくり返し伝えられるものに絞ると続けやすいです。
- あいさつをする
- ありがとうを大切にする
- 人を叩かない・引っかかない
- 危ないことは止まる
- 人の物を使うときは、大人と一緒に確認する
「ごめんなさい」は、言わせるより一緒に伝える
叩いてしまった、引っかいてしまった、物を取ってしまった。小さい子では、悪意がなくても起こります。そのときに、無理に「ごめんなさいって言いなさい」と迫るだけでは、子どもは意味を理解しにくいことがあります。
まずは親が相手の気持ちを言葉にし、子どもと一緒に謝る形がよいと思います。
声かけ例
「痛かったね。ごめんね」
「びっくりしたね。やさしい手で触ろうね」
「取りたかったんだね。でも、今はお友だちが使っているよ」
「一緒に『ごめんね』しようか」
マナーは、子どもが大人に怒られないためのものではなく、人と安心して一緒に過ごすためのものです。そう考えると、叱る場面でも少し伝え方が変わってきます。
まとめ|2歳までの統率力・協同力は、日常の中で育つ
2歳までの統率力・協同力は、大人のようなリーダーシップや協力の完成形ではありません。
この時期に見たいのは、自分で選ぶ、好きな遊びを始める、人と同じ場で過ごす、ありがとう・ごめんね・順番を経験するといった小さな土台です。
- リーダーシップの土台は、まず「自分で選ぶ」ことから始まる
- 主体性は、親が作るというより、止めすぎないことが大切
- 協同力は、同じ場にいる・まねする・お手伝いする経験から育つ
- 規範意識やマナーは、短い言葉で同じルールをくり返すことで育つ
親ができることは、特別な教材を増やすことだけではありません。絵本を選ばせる、服を選ばせる、簡単なお手伝いをお願いする、公園で人との距離の取り方を見せる。そうした日常の一つひとつが、子どもの社会性の土台になっていきます。
最後に
発達を一つの基準だけで見ると、2歳までの社会性はわかりにくいです。でも、「前より選ぼうとしている」「人の動きを見ている」「ありがとうをまねした」「少し待つ経験ができた」と見ると、日常の中にたくさんの成長が見えてきます。



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