駄々をこねる乳幼児へのしつけの仕方について、「しあわせ育児の脳科学」ダニエル・J・シーゲル&ティナ・ペイン・ブライソン著、早川書房の記載を、0-2歳に合わせて記事を書いています。
お店でやんちゃして困る!
ご飯をぐじゃぐじゃにして困る!
ここでは静かにしてほしい!
いらんことせんとって〜
子どもは学んでる最中かもしれないけど、じゃあ、どうしたらいいの!?
そもそも、なんでちゃんと説明しているつもりなのに、どうして理解してくれないの!?
そんなふうに育児の時って思いますよね?
私もよく思っています。
乳幼児期は、脳の発達が急速に進む時期です。
右脳は感情や直感的な思考、非言語的なコミュニケーションを司ります。
左脳は論理的思考や言語、計算を担当しています。
子どもをしつけるときに、単なるルールを教えるだけではほとんど効果がありません。
感情と論理をうまく調和させることが大切です。
この記事では、右脳と左脳の違いを理解し、乳幼児のしつけにどう活かすかについて解説し、
上のような悩みを解決できればと思いますので、よろしくお願いします。
右脳と左脳から学ぶ乳幼児のしつけ方
右脳と左脳の役割と特徴
右脳
- 感情、非言語的コミュニケーション、直感的な思考
右脳は感情の制御や表現に関与
アイコンタクトや声のトーン、表情など、言葉ではない方法で感情を伝えます。
左脳
- 論理的思考、言語、計算、分析的思考
左脳は言葉で説明をしたり、論理的に物事を考える。
幼児の右脳と左脳の発達
幼児期、特に3歳までの間は、右脳が主導的に働いており、感情や直感に基づいて行動します。
左脳の発達は遅れています。
少しずつ左脳が発達し、「なぜ?」や「どうして?」と原因・結果を求めるようになって、
論理的な思考が成長してきます。
3歳までは、ほとんど論理的に考えることはできていないのが事実です。

そしたら、なんで言うことを聞く子もいるの?
おそらく、論理的に考えて反応をしているわけではなく、「怒られるからしない」「喜ばれるからする」という感情で覚えていっている(=恐怖支配と一緒)のだと思います。
これは、後で、書いているマナー・危険な行為への対応でも書きますが、論理的に理解できなくてもいいから学ばせたいことを理解させるのはアリだと思います。
ただ、マナー・危険な行為は親がどう捉えるかで変わってくると思いますので、絶対にそのような教育をしないといけないかというと、そうでもないのではないかなと言うのが私の意見です。
よくあるしつけの問題
例1: 商品棚から物を移動するのが楽しい子ども
- 子ども: 商品棚から物を取り出して違う棚に移動する(床に置く)のが楽しい(感情的反応)
- 大人: 商品の位置が分からなくなると他人に迷惑がかかる、商品に触ったら不快な思いをする人がいる(論理的反応)
一般的な対応
「ダメでしょ!」ただただ怒る。
「他のお客さんが困っちゃうから、触ったらダメよ。」理論的に説明しているつもり。

頑張って教えているつもりだったんだけど、2番目だったな。
「つもり」って何?なんかムカつくんだけど。
一般的な対応で、子どもはしちゃいけないことをしなくなったでしょうか?
答えは、限りなくノーではないかと思います。
良い対応方法:
- まず、子どもの右脳にアクセスするため、感情を共有します。
- 「いろんな商品があって、楽しいよね」と共感し、子どもと同じ目線で接します。
- 次に、左脳に向けて論理的に伝えます。
- 「でも、他のお客さんが困っちゃうから、元に戻そうね。ママがこれ取ってって言うから、これをカゴに入れようか?」
最初に感情に共感し、その後に論理を伝えることで、子どもは納得しやすくなります。
例2: 食事のときに手でご飯を取って遊んだり、机を叩いたりする子ども
- 子ども: ご飯を手で取ってこねて遊んだり、机の上をバンバン叩くのが楽しい(感情的反応)
- 大人: ご飯がもったいないし、机や服が汚れるからやめてほしい(論理的反応)
一般的な対応
「ダメでしょ!」ただただ怒る。
「汚いから、ダメよ。うるさくしたら迷惑になるからダメよ」理論的に説明しているつもり。

頑張って教えているつもりだったんだけど、2番目だったな。
「つもり」って何?なんかムカつくんだけど。2回目・・・
一般的な対応で、子どもはしちゃいけないことをしなくなったでしょうか?
これも、答えは、限りなくノーではないかと思います。
良い対応方法:
- まず、子どもの右脳にアクセスするため、感情を共有します。
- 「ご飯を触って遊ぶの楽しいよね。」と感情に共感します。
- その後に論理的に伝えます。
- 「でも、机も汚れるし、ご飯がもったいないから、手をきれいにしてご飯を食べようね」
感情→論理をうまくバランスよく使うことで、子どもは行動を改めやすくなります。
感情(右脳)には感情(右脳)で対抗する
幼児は、先に書いた通り、左脳の発達が遅れているので、論理を説いても理解されません。
それどころか、長々と論理を語っても子どもに響いているのは、「だめ」「やめようね」の言葉だけ。
この言葉によって、子どもの自己肯定感が下がることもあるようです。
親は頑張っているのに、結局子どもに悪影響を与えている。
静かになって、いたずらや悪いことをしなくなったのではなく、自己肯定感が下がって自分はダメな子だと思い込んでいるだけかもしれません。
そんなの悲しいですよね。
子どもが感情的になったとき(幼児は全て感情的なので、幼児が訴えていることは全て感情的になった時です)、論理的に説明しても通じにくいことが多いです。
私は通じにくいどころか通じていないと思っています。
まだ言語理解も発達段階なので、理解できるわけがないですよね。
「コップをママに渡してきて」が通じないのに、
「熱いコーヒーがかかったら、火傷しちゃって痛いことになるからコップ触っちゃダメよ」って通じているはずがありません。
幼児にとって感情的な反応が優先されるので、理屈で納得することは難しいです。
子どもの目をみて覗き込みながら、おててを持って、「触りたいよね。気になるもんね。」って優しく伝え、その後、怯えるような顔と仕草をしながら、「でも、ほら、あちゅ(熱い)ってなっちゃったらパパ悲しいな。」と悲しそうにする。こっちの方が効果があるってことですね。
非言語コミュニケーションと共感(感情的に右脳に訴える)が非常に重要。
右脳から左脳への接続
右脳への接続がうまくいったら、ようやく左脳へ接続します。
- 左脳への接続: 子どもが落ち着いたら、論理的に説明を始めます。「どうしてダメなのか?」を理解できるように、やり方を教えます。
これは、右脳の接続がうまくいかないと効果がありません。
「衣食足りて礼節を知る」だなぁと私は感心しました。
幼児は左脳の発達が遅れているとはいえ、左脳を発達させないことはまた違います。
しっかり、左脳の教育もしたいところです。
なので、子どもが落ち着いたら、論理的な説明もしてあげた方がいいと思います。
否定的な言葉をなるべくさける
これは、ダニエル・J・シーゲルさんの本には書かれていませんでしたが、否定的な言葉「だめ」「しない」「ばか」とかいう言葉はなるべく避けた方がいいと言うことを読んだこともあります。
論理的説明をしていても、論理的説明のほとんどは理解できていないと考えてください。
そのうち、よく聞く言葉は耳に残るはずなので、頻回に否定的な言葉を聞かされると、その行為がダメではなく、自分がダメと認識されることがあります。
結果、行動が抑制されるのは、理解した時もそうですし、自己肯定感が下がったからでも同じなので、どっちなのかわからなくなります。
説明は難しくなるかもしれませんが、なるべく否定的な言葉は使わないで説明した方がいい考えられます。
「だめ」や「しない」という否定語の使用はなるべく避ける。
説明ができないなら、説明しなくていいのでは?
この意見も正直理解できます。
確かに、年齢に応じた教え方ができないのであれば、しなくても一緒かもしれません。
個人的な意見としては、年齢に応じた教え方は0-1歳でもできるのではないかと考えています。
例えば、家の中で走り回るのがダメなのは、「下に住んでる人がびっくりしちゃうよ」
食べ物を粗末にするのがダメなのは、「お米さんがえんえんしているよ」
バスの中で静かにしないといけないのは「乗っている人がびっくりしちゃうよ」
マナーと危険な行為への対応
これまでの話は、対応できる時の話です。
即座にやめさせて言うことを聞かせないといけないこともあると思います。
それが、マナーと危険な行為です。
この二つは、親によって受け取り方が違うと認識しています。
親が育ってきた環境によっていいと思うマナーとそれほど強く考えていないマナーがありますし、危険な行為も親によってラインがあります。
食事は絶対に静かに食べないといけない!と言う家庭なら、左脳に訴えかけずに右脳に訴えかけて指導したらいいですし、
「アスファルトの上で走ってこけても、いい経験だよ」という教育方針なら、何もしつける必要もないわけです。
親が思うマナーから反する行動や危険行為をしそうな時は、即座にその環境から遠ざけることがいいです。そして、右脳に訴えてダメなことをしっかり理解させることですね。
夫婦間の共通認識
ダメじゃないのにダメとしていることについては、夫婦間で共通認識を作る方がいいと思います。
そのためには、家族みんなでいる時間を増やすことが大事です。
実際、私も三人一緒になってめちゃくちゃ価値観が違うことにびっくりしました。
泥遊び、虫遊び、水遊び、火遊び、時間の捉え方などなど。あらゆることに対する価値観が違います!
もちろん、なるべく価値観が同じ人と結婚するのが一番ですが、でも、どんな人でも相手は他人。違いなんてあるもんですよ!
子育てって家づくりみたいなもので、パパもママもいろいろ理想があれば、それだけ対立が生まれます。その対立を話し合うことで、夫婦の絆も深まるので、むしろいい機会です!
7. まとめ
乳幼児のしつけは、「右脳ファースト!次に左脳に接続」のルールで行うことがあらゆる場面で役にたちそうです。
感情(右脳)に訴えかけることで子どもは安心し、その後に論理(左脳)で説明を加えることで、納得しやすくなります。しつけの場面では、感情的な理解と論理的な説明を組み合わせることで、子どもの健全な成長に繋がり、良い子に育っていきます。
ぜひ、この理論を用いて、みなさんもしつけを工夫してみてくださいね。
また、この記事は、以下の参考文献を主にまとめ、0-2歳に合わせて自分の意見を述べたものになります。これで、6章のうち1章しかまとめていませんので、ぜひみなさんもお手に取っておよみください!
8. 参考文献
- 「しあわせ育児の脳科学」ダニエル・J・シーゲル&ティナ・ペイン・ブライソン著、早川書房
ほぼ絶版になっているので、お買いになられる方はお早めに!!
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ダニエル・J・シーゲルはUCLA医学部の精神医学臨床教授です。対人神経生物学の分野で著名で、マインドフルネス実践と神経統合に関する研究を行い、個人や家族の発展を支援しています。また、心理療法の実践を通じて、子どもから大人まで幅広い層に関わっています。
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