せなけいこさんおばけ絵本。共感性も養える名作だった

子育て

「おばけになって、とんでいけー」
ちょっと怖いながらも優しい切り絵で子どもたちに愛されているせなけいこさんの絵本。
せなけいこさんは、昨年2024年10月にお亡くなりになりました。
私は、その頃に図書館で知りました。「ねないこだれだ」を見ると、よく本屋さんで売られているやつだ!と思って、数冊読んでみました。
第一印象は「え?子どもには怖くない?」と思ったのですが、せなけいこさんのことを調べてみると、「怖くないんだ。いい人だなぁ、もっと買いたいなぁ」となりましたので、みなさんにも共有します。

こんな人にこの記事はオススメです!

・絵本は買いたいけど、山ほど売られているので、どれを買ったらいいか分からない。
・絵本を買う時に、理由がほしい。
・絵本だけではなくて、著者のことも知りたい。
・詳しく調べるだけの時間はない。

今回、紹介する本は三冊です。

  • おふろにいれて せなけいこ作 ポプラ社
  • ねないこだれだ せなけいこ作 福音館 一番オススメ!
  • あーんあん せなけいこ作 福音館

せなけいこさんってどんな人?

せなけいこさん(1931年生まれ)は、東京都生まれ。お茶の水女子大学附属高等学校卒。
お店の包装紙や、封筒で作られる切り絵から生み出された「おばけ」と「うさぎ」
ポイントはこれかなぁと思います。

YouTubeにせなけいこさんんへのインタビューが投稿されているので、お時間があるかたは動画も見てくださいね。2分くらいです。ザ・普通のおばあちゃん笑。

絵を描くのが好き、本を読むのが好きな普通のおばあちゃん。

いつもお世話になっている絵本ナビさんには、詳しい説明があるので、より詳しく知りたい方は、以下のリンクから、詳細を見てくださいね!

絵本ナビさんによる紹介ページ

せなけいこさんの受賞歴

  • 37歳の絵本デビュー作『いやだいやだの絵本』(全4冊、1969)サンケイ児童出版文化賞受(1970年)。
  • 『ねないこはわたし』第5回ブクログ大賞のフリー投票部門大賞(2017年, 84歳)。

受賞歴はあまり多くはありませんね(昔はすごい賞しか残ってないだけ)。

でも、よく年号を見てください。1970年の賞ですよ。『いやだいやだの絵本』は全4冊のシリーズに賞が与えられているので、実質、「にんじん」「もじゃもじゃ」「いやだいやだ」「ねないこだれだ」に賞が与えられています。この年代のサンケイ児童出版文化賞で今もよく耳にする絵本は、「11ぴきのねこ 馬場のぼる作, 1968年受賞」「かくしたの だあれ・たべたの だあれ 2冊セット 五味太郎作 1978年受賞」くらい。(私が無知なだけなんですけど、そのくらいの人でも知っているくらい有名な本という意味です)。

賞って大事ではあるんですが、受賞後どういった評価を受けてきたかというのも非常に重要です。賞を取ったけど、その後は人気が出ず売れなかった、では賞の名が廃れますものね。
その意味で、せなけいこさんの『いやだいやだの絵本』シリーズは、1969年から45年間売れ続けている(累計発行部数152万5000部(出版社発表) 2024年10月28日)。これって相当すごいことですよ?単純に45歳のパパママが赤ちゃんの時に読んでいた本ということですし、その後山ほど絵本が出版されているの残っているんですから。

『ねないこはわたし』は、せなけいこさんの自伝的絵本。絵本ナビの紹介を読んでいると買いたくなります。ぜひ、下のリンクから、絵本ナビさんの記事をご覧ください。

最初で最後の自伝的絵本『ねないこは わたし』せなけいこさんインタビュー! _絵本ナビ

せなけいこさんは、お店の包装紙や封筒で切り絵が特徴的なロングセラー絵本作家さん。
「おばけ」と「うさぎ」がキャラクターとして有名。
1969年から45年間売れ続けている(累計発行部数152万5000部)。

持っておきたい絵本の一つですね!

買わなくても図書館とか児童館とかで、絶対読み聞かせしたいですね!

せなけいこさんの作品の紹介

おふろにいれて ポプラ社

代表作である「ねないこだれだ」をあえて外して、「おふろにいれて」を先に紹介します。
「ねないこだれだ」は怖いという印象があるから、先に「ねないこだれだ」を読むと怖いおばけの印象がついてしまいそうだからです。
「おふろにいれて」のおばけはいいおばけ!こちらを先に読むと怖さはなくなりますよ。

絵本って子どもの何の役に立つんだろう?
この本は特に子どもの何を伸ばすことができるのだろう?

私はそんなことを考えながら、購入する絵本選びをします。
大きくいうとポイントは2つ

  • 学びになる
  • 絵本が好きになる

「学びになる」ところは、色だったり、表現だったり、ものだったりと絵本によって学べるところは様々なのですが、「おふろにいれて」は、おふろを楽しいものと思ってもらうという意図があると思います。
だいたいお風呂関係の絵本ってそうですよね?おふろでちゃぷちゃぷ(松谷みよ子作)とか、他のシリーズものとか、「お風呂ってこんなに楽しいよ!入ろうよ!!」って促すものですよね。
お風呂のお湯が怖かったりシャンプーが嫌!
冷たい床が嫌!
大人には分からないなにかの理由でお風呂嫌い!入りたくない!
そんな子にお風呂って怖くないよ?楽しいよ?って思ってもらえる絵本になってますよね。

「おふろにいれて」も同じです。
あらすじは、、、

りゅうちゃんがお風呂に入っていると、、、

「お風呂にいーれーてー」といろいろな動物たちが入ってきます。

そして、最後にやってきたのは、、、おばけ。

最初は怖がっていみんな逃げちゃうけど、「いいおばけ」とわかると、お風呂をみんなが入れるように魔法で大きくして、仲良くみんなお風呂♪

気持ちよさそうにお風呂に入っている絵をみて、楽しくなります!

我が子は「おふろにいれて」のりゅうくんと自分を同一視しているのかも。

我が家では、ママが最初にお風呂に入ります。髪を洗って体を洗った後、我が子を連れて行きます。我が子の体を洗ってママと湯船に浸かったら、「パパー!パパー!」と大声でパパが呼ばれます。そして、パパがお風呂にいってみんなで一緒に湯船に浸かる。

我が子はそれが楽しいみたいです。やっぱりみんなと一緒にすることが好きなんです!家族団欒もできるし、忙しい毎日なので少しでも家族一緒になる時間があるのはいいことですよね〜

絵本のキャラクターと私を同一視、共感いる。せなけいこさんの策略にハマってた!

私の絵本は、シュールだとか、怖いとか言われることもあるのだけど、それは本当に子どもの世界を描いているからです。絵本には、かわいくまとまっているものが多いのですが、「みんななかよし」「あの子もこの子もみんないい子」などということは、本当はないのです。子どもの世界は、けっこう厳しいし、理不尽なことだってたくさん起こる。

嫌いなにんじんを食べなきゃいけなかったり、ぐちゃぐちゃの髪の毛にブラシをかけなきゃならなかったり。いつまでも起きていたいのに、寝なくちゃならないなんて……! それが子どもの世界です。

子どもが「これはぼくだ」「この子は私だ」と思ってくれる本を、私はつくりたかった。お母さんが喜ぶ本ではなくて、子どもが「自分だ」と感じる本をつくりたかったのです。そんなふうに絵本をつくっていると、どうしても、甘い終わり方ばかりにはならないのです。

東洋経済オンライン せなけいこさんへのインタビューから引用

この記事を読むまで分かりませんでしたが、まんまと我が子はせなけいこさんの策略にハマってしまっていたようです。

ちなみに、僕は、お化けが靴下かと思ってました!

形が一緒なんだもん!!

せなけいこさんの絵柄はいつもと同じ切り絵。切り絵作家さんの数は多くないので、いろんなパターンの絵柄の絵本を置いておくのも、視覚的に幼児教育にいいと思います。
ぜひ、お手に取ってみてくださいね!

ねないこだれだ 福音館

こちらは皆さんご存知の絵本。
もし、知らないって方は、絶対に買った方がいい一冊ですよ

こんな時間にまで起きているのはだあれ?
 ふくろうに みみずく。
 くろねこ どらねこ。
あれ、あれれ?よなかにあそぶこはおばけにおなり。
おばけのせかいに、とんでいけー。
おばけになって、とんでいけー。

表紙だけ見て、「あ、これ。有名なやつだ。買おう」
ってなった方も多いはず。でも、中身を読んだら、

え?こわ。

私はそうなりました笑

「ねないこだれだ」のタイトルから、夜寝る前に読むじゃないですか?可愛らしい(現代風には可愛くない)夜の動物たちの目がギラギラで、動物さんいっぱいいるねーって思いますよね。当然、赤ちゃんが出てきますよね。

他の絵本だったら、「もうねんね」になりますよね?
夜だから「ねんね、おやすみなさい」って。
松谷みよ子さんの本も、マーガレット・アトウッドさんの本も、そうでした。なんだか眠くなってきちゃったってなるはず。
なのに、「ねないこだれだ」は、おばけの世界に飛んでっちゃうんですよ!

どういうことだ!?問題作か?と思いましたが、違うらしいです。

絵本の最後に、夜なかなか寝ない子どもがおばけに連れられて飛んでいくというシーンがあります。大人はこれを「早く寝ないといけない」という、しつけのメッセージだと思うかもしれません。

でも違うんです。だって、おばけの世界へなら、子どもはきっと飛んでいってみたいでしょ? わたしだって、そうなのだから。実際に、私の娘などは「いいよ、とんでいくよ」といっていました。

東洋経済オンライン せなけいこさんへのインタビューから引用

なるほどー。これって喜んでたんだ。子ども目線とは難しいものです。よーく子どもを見て考えると、「夜はまだまだ遊びたい、もっと絵本を読んでほしい!」
そんなふうに子どもは思っているんですね。「眠たいけど寝たくない!」って。

確かに、1歳になると、もう自我が芽生えていますもんね。これをしたい!寝たくない!という意思表示が強烈になってきます。「あーそーぼ!あーけーて!とおーて(とって)!」の集中攻撃。
子どもに完全に合わせているといけない時も当然ある。
しかーし、大人には、やらねばならぬことがある!そう、躾(しつけ)だ!

特に「ご飯、おむつ、お風呂、寝る」これについては、子どものわがままだけを聞いていては、その子のためにならない。心を鬼にして、寝かしつけなければ!

「もう寝るよー。はい。お布団に入って、ねんね。ちーくんもねんね。」
これですよね?我が子も現実は厳しいって思っているんでしょうね。

そんな時の「ねないこだれだ」!

だから、「ねないこだれだ」を読むと、「これ、僕だ!」ってなるんですね。共感性自己同一性を養っている。そういうことだったんですね。

すごく深くないですか?
絵本ってみんな仲良し、ハッピーエンドで終わる本が多いですよね?
そうじゃない本は、「教訓を教える」ことが目的になっています(昔話とか)。
でも、1歳児にはまだ早い。

0-1歳児むけの絵本って、どうぶつー!いろー!きらきらー!電車ー!歯磨きー!ぎゅー!オノマトペー!ああ楽しかった!っていう感じなのが多くないですか?
これって、よく見ると、「ものを覚えさせるか」「親のエゴ」なんですね。
子どもの気持ちは考えていなかったんですね。反省です。

それに、おばけのせかいって憧れますものね。私は、さっきの「おふろにいれて」を先に読んでいたので、この靴下お化けが怖くなくて、楽しい世界かと思ってしまいましたし!

夜に連れて行ってもらえるなんて、そもそも興奮してたなぁ

それに、ピーターパンみたいってことですよね。

そりゃ、子ども好きだわ。

というわけで、こわーい絵本ではない、「ねないこだれだ」

自己投影することってかなり高度ですが、物語の登場人物の感情を読むとか倫理観を養うには、まず、自己投影して物語の人物を自分と重ねることが始まりです。その手助けになっているこの本は名作と言えますね!!さらに補足すると、この機能にはミラーニューロンの活性化が必要で・・・長くなるのでやめときます笑。

あーんあん 福音館

こちらも、「ねないこだれだ」と同じく、福音館からの出版です。
さて、率直な感想。

わけわからん。笑

保育園に行きます。お母さんが帰っちゃうのはやだよー。 ←わかる。
あーんあん。 ← わかる。
一緒にあの子もあーんあん。 ←まぁ、わかる。
涙がどんどん溜まって ← うんうん。それでそれで?
魚になっちゃった。 ← わからん笑

あれか?
安部公房のわけわからん世界観か?
ナジャのシュールレアリズムか?
そこまで深くないよね?いや深いのか?

これまでの流れからして、涙が溜まってお水が増えて、おさかなになったら楽しいよねー。って感じですよね?ですよね?せなけいこさん!

せなけいこさんの世界観に遊ばれる私・・・
何を思って作ったんだろう。何を訴えたいんだろう?
そう考えると、教訓というよりも、「涙が出るのは悲しいけど、それでも結果楽しくなるよね」っていう解釈の方があっている感じがしませんか?

これも、子どもが「自分のことだ!」ってなる絵本かなと思います。

共感性ってすごく大事ですよね。

大人になっても知識よりもコミュニケーション力が高い方が評価されることもある。
それには共感性が一番大事。
商売をする時もこの共感性がないと何が必要とされているわからないわけですし。
こどもの世界でも、お友達のことが分かってないと仲良くできない。
共感性が高まっていれば、他人の経験を自分の糧にすることができるようになるので、成長も早くなる。

だけど、思ったよりこの力を育む絵本って少ないなぁって思います。
「ねないこだれだ」「あーんあん」はそういったことを育む手助けになりますね
(これを読んだからといって子どもが友達に優しくできるとか目に見える形で結果が出ることはないのでご了承ください)。

さいごに

今回は、せなけいこさんの絵本を3作品、紹介しました。
切り絵のおばけがポイントのせなけいこさんの絵本。

大人にはよくわからない世界だけど、子どもが思っていることを代弁していて、自己同一性と共感性を養うのに優れた作品だなとお思います。
今回は、2歳以下の子どもを対象の絵本を選びました。
見所いっぱいの「おばけシリーズ」「いやだいやだ」シリーズ。
買っても損はないかと思います。ただ、好みは分かれそうです。「怖いし絶対に嫌」って方もいるかと思いますので、可能であれば、中身(最後の落ち)をご確認いただいた方がいいと思います。
今回紹介した「おふろにいれて」「ねないこだあれ」「あーんあん」については、怖いと言われる最後の落ちも説明しましたので、分かってくださるかと思います。

この記事を最後までお読みくださいまして、誠にありがとうございます。
このブログでは、絵本の紹介を含む育児に役立つことをたくさん載せていく予定ですので、他の記事もご覧になってみてください。

せなけいこさんの本はまとめ買いも販売されています。プレゼントにいいかなと思います。書店にはない場合もありますし、持ち運びも大変だと思いますので、ネットで買うのがオススメです。

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